2010年2月14日日曜日

かくれんぼ

四年生の話

四年生は木曜日が小テストの日です。授業の始めにHちゃんから提案がありました。
「先生、しょうテストの後ゲームとかできない?」
「ゲーム?でも昨日フルーツバスケットやったばかりじゃなかったけ?」

この学年は昔から復習の名目のもと行われるフルーツバスケットが大好き。フルーツの名前の代わりに日本語の単語を使って遊んでいます。

「今日はフルーツバスケットじゃなくて、、、、そう かくれんぼがしたい!」
というのはR君から提案。
「そんな無茶なこと言われても。教室に隠れる所なんかないよ。」
「でもいいからやる。ね、ね、いいでしょ?」
「うーん、他のみんなはどうなの?フルーツバスケットの方が無難だと思うんだけどなぁ。みんなはどうしたいの?」
「かくれんぼする!」
「私もー!」
「ええ!?だから隠れる所なんかないって言ってるのに。」
「でもしたーい。」

クラス全員でかくれんぼがしたいんだそうです。まぁこの学年は宿題を忘れる事も少ないし、勉強もよくやってくるから、まぁいいかってことでやらせました。





いざ始めて見ると言わんこっちゃない。やっぱり隠れる所が少ないくて場所を探すのに苦労しています。電気を消して薄暗くしてみても、隠れる場所が見つからなきゃどうしようもない。

R君なんか場所がないので僕の後ろにピッタリ張り付きました。

それでもみんな思い思いの場所にかくれて、さぁ鬼になったC君に教室に入ってもらいます。

あちらこちらを漁りながらクラスメートを探し始めるC君。かれがキャビネットの中から箱を引きずり出しながらHちゃんを発見。Hちゃんがキャビネットの中から出てくる時に頭を棚にぶつけて上に積んであった書類がドサドサ床に散らばります。

そんなケオティックな教室に、これ以上ないくらい最悪ののタイミングで校長が登場!
「オカムラ先生。この書類の件なんだけどね、、、、」


薄暗い教室に散らばる書類、キャビネットから顔だけひょっこり出して頭を痛そうに抱えて涙目のHちゃん。
おかまい無しにキャビネットの二段目を漁り始めるH君
教室の一角にはオレンジ色の篭を頭に被って、他の篭にまぎれて体育座りしているEちゃん。
隠れる場所がなかったので僕の後ろにぴったり張り付いているR君。(まだH君に見つかってないので動けません)
これまた隠れる場所がなかったD君は机を挟んでH君と対角線上に虫のように這いつくばって、H君が移動するとそれに会わせてカサカサ動いています。
教室のもう片隅にはA君がいますが、彼は太っているのでお腹か壁からはみ出しています。
僕の教卓の下にはCちゃんとAちゃんが隠れながらこちらの様子をうかがっています。僕と目が合うと手をヒラヒラを振ってにっこり。


いやな汗をかいている僕におかまい無しに続ける校長
「ここの所の文章がちょっと不明瞭で。あとでもう一度サインをして提出してもらえますかね。」
「はい。すぐにします。」(声がちょっと裏返りました)

結局校長は何も訊かずに去って行きました。訊かれたら正直に「クラスでかくれんぼしています」って答えようと腹をくくってましたが、どうやらその必要はなかったです。

普通、あの場面では訊くでしょう?
「あのー、オカムラ先生。その子は先生の後ろで何をしているんですか?それから、なんで篭を頭に被った子供があそこに?」

しっかりスルーされました。訊いちゃ不味いと思ったのかなぁ。




全員見つかった後で、「いや、さっき校長が来た時はどうなるかと思ったよ。」と言ったら生徒はみんなキョトンとした顔をしています。
「あれ?危なかったと思わなかったの?」
「ええ?なんで?だって先生が良いって言ったから、いいんでしょ?」
「今度は校長先生に捜してもらおうよ!」




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