2009年2月22日日曜日

Differenciated Instruction

本題に入る前に、フェア/公平について少々。これには大きく二つの考え方があります。

A君とB君にビスケットを一枚ずつ与えるのは公平です。同じ量を与えるわけですから当然です。でも、B君の方が体が大きいので、B君にビスケットを二枚与えのるはどうでしょう。この二番目の方法は一見不公平ですが、誰しも必要な物や量は違うわけで、必要に応じて質や量をコントロールするのも見方によれば公平なわけです。

この二番目の公平を教育現場で実践せよというのが、最近のシカゴの流れです。全ての生徒が同じ授業を受けるのは当然公平ですが、そこから一歩進んで、個々の生徒が最も伸びやすい形で授業をする。例えば、A君とB君では理解の度合いや得意な勉強方法が違うので、それぞれにあった形で教える。簡単に言ってしまえば、「生徒個人の必要に対応した授業とカリキュラム」これはDI=Differenciated Instructionと呼ばれ、ここ数年注目を浴びている教育法です。

なんか難しそうに書きましたが、全く新しいアイディアじゃありあません。むしろ既存の教育法に新しい名前を付けた感じ。教師をやっている人間なら、度合いの違いはあり、皆少なからずDIを実践しています。どんな事を教えるにしろ、一パターンのみで構築された授業はないわけで、あれやこれや色々取り入れて工夫しています。むしろ教師の良し悪しは、如何に多くのネタを持っていて、必要に応じて使い分けられるかと言っても過言ではないかと。黒板に板書したのを写させるだけの授業をやっているようじゃ、生徒が居眠りしてもあまり文句は言えません。(だから居眠りをしても良いわけじゃないですよ。ダメです絶対。)

物事には度合いというものがあって、このDIも当然やり過ぎると収集がつかなくなります。生徒のニーズは非常に多岐に渡っていますから、全員のニーズを満たそうなんて不可能です。第一、限られた時間の中で消化しなければならないカリキュラムがあるわけですから、実践する以上は上手に調整をしなくてはなりません。

愚痴っぽくなりますが、ウチの校長はDIを非常に薦めます。DIのための会議と結果報告。更には授業計画を提出しなさいなんて言われた日には、もうどうしようかと思いました。ただでさえ仕事があるのに、更に書類の仕事を増やしてくれるなと。書類の仕事が三倍から四倍に増えた気分です。自分の本業が書類作成なのか教えることなのかあやしくなってきました。

まぁ校長は上司なわけですから、言いつけには従いますけど、このままだと書類を「作る」ようになるのも時間の問題かと。本当かどうかは別として、書面の上でみかけがよければ、とりあえずそれでOK。そもそも、教師のニーズに応じて提出物のリストを見直してほしいものです。生徒だけがDIの恩恵にあずかるのではなくて、教師にだって応用してもいいんじゃないかってね。

最近同僚達と放課後に行うDIミーティングはDifferenciated Intoxication。あたしゃワインであんたはビールみたいな。みんなで同じビールを飲むのではなくて、自分のニーズに合ったお酒で酔うのもいいものです。

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